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雇用者数増で好景気という嘘

アベノミクスが順調であるという根拠の一つに、『雇用者数の増加』 がよく挙げられます。確かにアベノミクスが始まってから雇用者数は増加の一途をたどり、失業率は低下、有効求人倍率も空前の数字となっています。これらの数字だけ見れば景気が良いはずなのですが、労働者の大半が好景気を実感していないというのが現実です。

なぜこんなことになってしまうのか。その理由が一目で分かる資料がこちらです。

上のグラフを見れば分かるように、雇用者数の増加に対して延総実労働時間はほとんど増えていません。その原因は短時間労働者、つまり非正規雇用の増加にあります。

例えば、正規雇用の8時間労働の労働者が一人退職して、それを4時間労働の非正規雇用2人で穴埋めしたとします。この時、雇用者数は2倍になりますが、延べの労働時間は変わりません。今の雇用者数の増加の背景には、こういうからくりが隠れているわけです。

8時間労働×1人 = 4時間労働×2人

企業(経営者)の視点で見れば、『コストの高い正規雇用をコストの安い非正規雇用で置き換えた』 ということになります。同じ8時間労働をさせてもコストが安いのですから、当然賃金も安いわけです。

単純に雇用者数が増えたというだけでは好景気にはなりません。どういう雇用が増えたかが重要であり、非正規雇用がいくら増えようがそれが正規雇用の置き換えである限りは実質賃金が上昇することはなく、労働者が好景気を実感できる世の中にはなりません。

正規雇用の立場から見ても、自分の回りにいつクビになるか分からない賃金の安い非正規雇用がいるという状態は、好景気を実感できるものではないでしょう。明日は我が身かもしれないのですから。

このことから分かるように、現在の状況で雇用者数の増加が好景気だとするのはまったくのでたらめであり大嘘なのです。雇用者数や失業率、有効求人倍率といった表面的な数字だけでは経済の本質を理解することはできません。

年金問題が参院選の争点になりそうですが、年金制度を安定したものにするには、現在の自民党や公明党が進める新自由主義政策では実現は困難です。

年金制度を安定したものとするには、『マクロ経済スライド』のような、わざと難しい専門用語を並べて、国民の目をごまかし、給付を抜き取るような窃盗政策ではなく、本質的に『支える力』である雇用を安定したものとする、という簡単で分かりやすいものを基本とすることが大切です。

財政審の提言書も提出されましたが、要旨は「増税」と「給付削減」しか書いてありません。まことに恐縮ですが、こんな政策なら誰でもできます。

一方、法人税や金融所得課税、租税特別措置については意見についても触れられていません。いわゆる聖域化しているこここそが、社会保障不安定化の震源であるといわざるを得ないのです。

一般会計のグラフを見ますと、確かに社会保障費と地方交付金と国債費で7割を占め、裁量の余地が無いと主張しているように読めます。しかしそうであればなぜ大企業の内部留保が400兆円(預金は200兆円で世界一の率)にも達し、さらに100兆円規模でタックスヘイブンに資金が流出しているのでしょう。

これらのお金は、労働者の付加価値生産をピンハネしたものを余剰として積上げたものであり、本来は再分配(三面等価の原則)しなければならないのに、なぜかそのツケ部分だけが増税や社会保障の負担増として回されているのです。

これらは19世紀末からずっとある資本家と労働者の間の構造であり、そのうそとごまかしを是正しない以上、経済成長を支える経済循環をもたらしません。

よくSNSなどで金融庁報告書を読んで、これは真っ当だなどと評価している知識層がありますが、そもそもこんなクソ難しい(マクロ経済スライド)制度自体を疑う必要があるのです。

制度は年金局数理課という複雑な保険数理を扱う専門部署で設計していますが、単に「年金カット」をどうごまかして行うかと云った一種のトリックのようなものと思ったほうがよいと思います。

本来はこういうカット制度(ツケ回し) ではなく、カットせざるを得ないところに追い込まれた要因であります、小泉政権から始まった新自由主義政策「聖域なき構造改革」の間違いこそ見直す必要があるのです。

分かり難い制度には、そもそも制度自体にその制度を受ける層を錯誤させる狙いがあり、良い制度は『簡単』です。

年金制度を安定させるには、『支える力』を安定化させればよいのです。

そして『支える力』を大きくするには、働いている層の『非正規』を『正規』に転換し、賃金を安定したものとする経営努力を指針とし、国がそれを法制等で後押しすれば実現できます。なにしろ200兆円+100兆円ものピンハネが積みあがっているのですから。(残業代不払いは違法です。)

要約しますと、租税調整を通じ、また労働法制や政府の経済財政政策を通じ、企業の付加価値生産の再分配を適正に行うことで、経済の循環を回していく、これが経済の本質論です。

難しい話では国民は力が出ません。
わかりやすいもの=がんばって働けば豊かになれる、という社会を目指さない以上、日本はよくなりません。

そしてそのためには、隘路に嵌ったら、1回政権を代えて、点検してみる、このことがとても大切なことと思います。



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