このところ次期衆院選を目途に、消費減税5%等の政策が主に野党から提言されているが、果たして奏功するだろうか。

図1

わが国は、1997年以降の20年間殆ど経済が横ばい(図2)に終始し、政府は財政出動と消費増税という政策を繰り返してきた。2012年から始まったアベノミクスは、金融緩和と機動的な財政出動を旗頭に政策を実行してきたが、GDPデフレーターへの寄与は小さい一方で、政府の財政赤字は1000兆円を超えた。すなわち、奏功しているとは云えない。

図2

では野党の一部から提言されている消費減税5%の効果はどうか。
わが国は平成9年(1997年)から平成26年(2013年)までの17年間、消費税は5%であった。

この間に、法人税は37.5%から25.5%に下げられ所得税の最高税率も下げられた。

図1において、消費税収がほぼ10兆円で推移するところ(右数字)が消費税5%の期間。
この期間は、前述のとおり、法人税及び所得税は「減税」されている。
従って、仮に現在から消費税を再び5%に減税した場合、それは図1の17年間と重なる。

では、その消費税5%及び法人税・所得税減税の期間のGDPはどうであったか。
前述のとおり、GDPは横ばいに終始し、現金給与総額(名目賃金:図3)は低下の一途であった。

図3

もし『消費減税5%に税効果があるなら、この17年の期間は、法人税・所得税も大幅に減税されていたのであるから、GDPも現金給与総額も右肩あがりにならなければならない』、かつ、『17年は十分な政策検証期間』であったと云える。

一方、この期間、5%の消費税自体が消費不況を招いているとの論調が一部の新聞等で指摘されてきたが、そうであるなら5%減税に効果があるというのは、矛盾し禁反言の原則とも重なる。

政策や主張は、自由であるが、政党(政治家)や報道機関は言論に因果関係の説明責任を負っており、仮に消費減税5%で失われる財源が10兆円であると置くなら、政策の税効果を失すれば、更なる社会保障等の削減及び赤字国債の増発となることは誰の目にも明らかであ、失当と云わざるを得ない。

以上 以下余白

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