ファビピラビル(アビガン®)

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ファビピラビル(T-705;6-fluoro-3-hydroxy-2-pyrazine carboxamide)は,富山化学工業株式会社で抗 インフルエンザウイルス活性を指標に化合物ライブラリーをスクリーニングし創製された薬剤である。

ファビピラビルは,RNA ウイルスの RNA 依存性 RNA ポリメラーゼ(RdRp)を選択的に強く阻害する 新規な抗ウイルス薬であり,その作用機序は,細胞内に取り込まれたファビピラビルが細胞内酵素によ り代謝・変換され,ファビ ピ ラ ビ ル・リ ボ フ ラ ノ シ ル 三 リ ン 酸 体(favipiravir-ribofuranosyl-5ʼtriphosphate)となり,RdRp を選択的に阻害するものである。

また,ファビピラビルは広範囲な RNA ウイルスに in vitro や動物モデルで効果を示すが,RdRp の触媒領域が RNA ウイルス間で広く保存され ることがこの現象を支持している。ファビピラビルは,既存薬耐性株を含むすべての型のインフルエン ザウイルスに対して活性を示すだけでなく,出血熱の原因となるアレナウイルス,ブニヤウイルス,お よびフィロウイルスなどの広範囲な RNA ウイルスに対しても効果を示すことから,治療法の確立され ていない RNA ウイルス感染症の薬剤として期待されている。

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